「虫歯が悪化しているけど、治せますか?」
「重度の虫歯になるとどのような治療が必要?」
初めは感染した範囲が小さかった虫歯も、放置することでやがて神経まで達します。神経にまで達した場合は、多くの症例で抜歯を選択せざるを得ませんでした。
しかし、この「抜歯」によって歯並びが乱れて咬み合わせに問題が起こるケースもあり、近年では神経まで達した虫歯に対して根管治療を行い、できるかぎり抜歯せずにご自身の歯を残すことに重点が置かれるようになりました。
根管治療とは?
歯の神経や血管が入っている根管という細い管の中から、虫歯になってしまった組織(神経や血管など)を取り除き、内部を洗浄・滅菌・消毒し、薬剤を詰める治療です。根管治療で歯の根を残し、その上に被せ物をすることで歯の機能を回復します。
細胞の組織は木の根っこのように放射状に広がっているように、歯の内部を通っている根管も同様に細くて小さな管が複雑に枝分かれした形状になっています。
それゆえに、微細な根管の中にある虫歯菌自体や侵された組織を100%取り除くことは、歯科医療のなかでも大変難しく、高度な学術知識や治療技術が必要な専門性が高い治療に位置づけられています。日本では聞かれたたことがないかと思いますが、根管治療先進国(アメリカ)では根管治療の専門医がいます。近年では、アメリカに留まらず、アジア諸国でも「一般治療」とは分けられ、専門医が行っています。つまり、日本は世界に比べると根管治療の後進国といえてしまうような現状に置かれているという見方もできます。
日本で根管治療を行う場合、多くの症例においては保険診療が選択されます。しかしながら、統計によると保険診療で根管治療を受けた場合の成功率は50%といわれています(東京医科歯科大学 歯内療法学講座のデータより引用)。
保険診療のメリットは治療費用を抑えられることから選択されるケースが多いものの、その実態としては、保険適用内の枠組みの中で行う性質上、治療内容は必要最低限(痛みを止めるまで)のものに限られます。もっと、具体的にいうとマイクロスコープを使えないため、見えないなかでの手探りの治療となり、ただでさえ構造的に難しい根管治療の難易度がさらに高まってしまうというわけです。
健康的に見える美しいセラミックの歯を被せても、根管治療で虫歯菌や感染した組織をとり切れなかった場合は数年後に再感染してしまう可能性があります。
根管治療は一回目が重要です。なぜなら、もしも再治療となったときには必要な処置が増えてしまうためです。なお、再発要因としては、以下が挙げられます。
こうなってしまった場合は、歯根の内部で細菌が再繁殖することで再発してしまいます。また、最悪のケースとしては、歯に亀裂が入ったり、治療中に歯の根の部分の壁が薄くなり、穴が開いてしまったこともあります。こうなった場合は、根管治療だけでは治せません。
実際に失敗していた場合は、時間とともに痛みが戻ってきてしまいます。一回目の根管治療でいかに成功させるかが重要なのです。
当院では、治療の精度を高めるために自費診療による根管治療を行っています。マイクロスコープをはじめ、ラバーダム、ZOO、カリーナシステムなど精密な治療に欠かせない機材を導入していますので、治療を検討されている方は安心してお任せください。
医科用のマイクロスコープは1mm単位の診察に使いますが、ミクロの世界といえる歯科用のマイクロスコープでは、1mm以下を肉眼で精細に捉えることができます。細かくて複雑に入り組んでいる根管内を拡大しライトで明るく照らして把握でき、汚染された組織を取りきる際に役立ちます。
治療部分のみを露出し作業することにより、唾液による歯根部分への汚染を防ぎ、粘膜や舌を作業中に誤って傷つけないようにするためのシートです。根管治療においてとても大切なのは、根管を無菌に近づけることなので、このラバーダムの使用により、治療の成功率が大幅に高まります。 ※嘔吐反射がある方には無理に使用しませんのでご安心ください
唾液を吸引し、湿気がほとんどない条件で歯科治療を行えるようにするための吸引・防湿器具です。ラバーダムと併用することで、理想的な治療環境を実現できます。
患者さまにわかりやすく治療の状況を説明するために、リアルタイムでマイクロスコープの動画を画面共有できるカリーナシステムを導入しています。
口頭での説明だけではく視覚的に理解していただきやすく、患部の状況や治療の意図などもつかみやすくなります。患者さまへのこのような共有を通して、一人でも多くの方にお口の中の健康と全身の健康を考えていただき、自立的・自律的ヘルスケアの増進に貢献していければ幸いです。
治療内容 | 咬むと痛い、温かい物がしみる、夜になると重い鈍痛があるとの訴えにより、不可逆性歯髄炎と診断し、抜髄(神経を抜く)治療を行いました。写真は傷んでしまった神経の様子です。 |
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治療期間 | 根管治療が全て終わるまで通院回数は4回でした。(2週間に1回のペースなので2ヶ月) |
治療費用 | 保険適応 |
リスク・副作用 | 根管の中で再感染し、再発する場合があります。神経を抜いたので、歯そのものが脆くなり、歯が割れる恐れがあります。 |
治療内容 | 冷たいものがしみる、甘いものがしみるとの訴えにより、銀歯が入っておりましたが銀歯の下の2次カリエスと診断し、銀歯をはずして、浸潤麻酔下でむし歯を取り除きました。 写真は銀歯を取り除いた様子です。むし歯をとった後はレジンで封鎖し、1ヶ月ほど状態が悪くならないか経過観察の後、予後が良好でしたので、また銀歯を装着しました。 |
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治療期間 | 治療回数は3回(むし歯治療→1ヶ月経過観察→歯の形を整えて型取り→銀歯装着) 治療期間は2ヶ月 |
治療費用 | 保険適応 |
リスク・副作用 | 神経の近くまで歯を削りましたので、削った機械の振動、水、薬品などの刺激により神経がうずいて痛くなる場合があります。保険の銀歯の場合は数年後にまたむし歯になる可能性があります。 |
治療内容 | 夜中じゅうの激しい痛みを訴え来院されました。レントゲン撮影をし、根尖に病変を認めたため、不可逆性歯髄炎と診断し、抜髄治療となりました。 |
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治療期間 | ほとんどの場合は初回に抜髄処置をして、2回目根管内の消毒、3回目に根管充填で終わりになりますが、この歯は膿がとまらず、根管内の消毒に5回ほどかかりました。根管充填まで終わるのに回数で7回、期間としては、4ヶ月程かかりました。 |
治療費用 | 保険適応 |
リスク・副作用 | 根管内の感染により再発する場合があります。歯が破折する可能性もあります。エナメル質が多く残っているので、穴をあけた部分だけレジン充填をしましたが、神経が無いので数年後に歯の色がグレーに変色する場合があります。 |
他院で根管治療を受けられて再治療をご検討の場合には、原則として自費診療での根管治療を行っています。マイクロスコープを使用し診査診断を厳密に行い、診断結果の現状を伝え、予後予測まで説明し患者さまが納得する治療を提供します。できるかぎり抜歯しないことを目指し、精密な根管治療を行いますのであきらめずに一度ご相談ください。
1歯 165,000円(税込)
※診査診断から治療に至るまでマイクロスコープを使用します。